父と母の関係性

納骨で帰省した最終日、東京に戻る前に父に会いにいった。
その日は、私達夫婦と姉夫婦、そして姉の旦那さんのお母様も一緒だった。
インフルエンザや風邪予防の為、施設の玄関先で手を消毒し置いてあるマスクを着用し部屋へ向かった。
姉の旦那さんを見て、何か聞き取れないが、笑いながら一生懸命話していた。
その後に視線は、少し遅れて入ってきた旦那さんのお母様へ。
父の足元で、ジェスチャーを交え沢山話しかけて下さった。
すると、今までに見たことのない満面の笑み。
頷いたり、本当にニッコニコしながら全員を見た。
やっと、母ちゃんが見舞いに来てくれたと言わんばかりに。

絶対、母だと思っている。
マスクを着用していることもあり、背格好が似ているからだろう。

私達を見ながら、「母ちゃん。母ちゃん。」と喋った。
私達に母の事を言う時は、いつも「母ちゃん」と呼んでいた。

それにしても、父はこんな表情を持っていたんだと心底驚いた。

「結局、母ちゃんがいいんだね。私が来てもこんな顔、一切しないよ(笑)」
姉が小声で言った。

その後、私と姉を見て「母ちゃん、母ちゃん」とあと他にも聞き取れないが何か喋っていた。
きっと、母を頼むぞと言っていたんだと思う。
気持ちは充分伝わった。

父は暴力癖が凄かったし、母も離婚を何度も考えたと言っていた。
子供の頃から、毎晩のように繰り返される激しい夫婦喧嘩に子供ながら早く離婚すればいいのにと思っていた。
ついつい、両親としてしか考えなかったが、当たり前だが父も母も男と女だ。
夫婦色々あるように、私にはわからない知ることのない父と母の関係性があるのだと改めて考えさせられた。
母は、亡くなる前に父の事を話し、納骨の翌日きっと私達と同じく父に会いに来ていた。
父は、倒れる数日前にこの先母が倒れたらと言って、姉に救急車、病院、子供達の連絡先を聞いていたし、今の状態になっても母を気にかけている。

結局、お互いの事を思い合っていたということか。

だからこそ、もう一度本当に会わせてやりたかったと部屋を出てから涙が止まらなかった。

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