介護中の思い出(お菓子編)
母は、認知症だった。
父が脳梗塞で倒れ入院して、一人になった途端様子がおかしくなった。
当時、東京から田舎の母に電話すると、日にちや時間を朝5時と夕方5時がわからなくなっていたりと気になる事が増えていったので、私達夫婦と一緒に暮らし始めた。
デイサービスに行かない日は、母は留守番が多かった。
といっても、週2日くらい5時間程。
お昼ご飯と飲み物とおやつを母の部屋にセットする。
母は、血圧が少し高かったり、昔から小太りだったので、おやつの量も控えめに出していた。
ある日、夫が、
「くまこ、ここに置いてあったプリッツ食べた?」
「食べてないよ?その箱ちょっと見せて」
ん?
「この開け方は、母だよ。」
我が家のリビングには、お菓子BOXがある。
母は、お腹が減ってリビングにやって来たのだろう。
そこへさつまいものパッケージのプリッツが。
通常の開け方がわからないので、バリバリと引き裂いたのだろう。
「母ちゃん、ここにあったお菓子食べた?」
「食べてないよ!あんた達がいない時に、リビングには入らんもん」
「ほんとー?(笑)」
「本当に食べてないよ!!母ちゃんが歯が悪いのは知っとるやろ!歯が悪いんだから、あんな芋の硬いもんは食べん!!」
隣で、夫が大爆笑だった。