息子達を忘れたの??

母と一緒に暮らし始めて2ヵ月経った頃、長男と二男が我が家を訪れた。

母と兄達も、兄達と私もそれぞれが18年程会っていなかった。

母は、兄達が来る事が決まってから随分この日を楽しみにしていた。

しかし実際は、18年会わない会おうとしなかった通りの空気感だった。

私は、長男とは11、二男とは7つ離れている。

その年の差もあり、私達兄弟も微妙な関係性だった。

母が何か話しても、まだ二男は介護の仕事をしていることもあり、聞く耳を持っているのだが、長男は酒を飲まないと話せない、酒癖が悪いのですぐ、生い立ちから両親を否定し続ける言葉しか発さない。

結局、以前にもいくつか書いたが、長男は母の葬儀にも参列しなかったし、未だに自分の行いを正当化するように口を開けば、周りを批判しかしない。

兄達は一泊して、翌日の昼過ぎに帰っていった。

私も夫も気疲れし、母も疲れた様子だったので、少し昼寝をする事にした。

そして、その日の夕食時。

「あの人達はもう帰ったの?」

「うん、帰ったよ。帰る時、母ちゃんとも玄関先で挨拶して帰ったでしょ。」

「…。」

「そういえば、結局あの人達って誰だったの?」

その瞬間、私も夫も固まってしまった。

「覚えてないの?」

「…。」

実際、会っている間はちゃんと名前で呼んでいた。

「えぇ?あの人達、誰だったかなぁ?母ちゃんが知っている人だったの?」

「よく知っている人達だよ。」

「…。」

「あー!わかったわかった!!思い出した。そうだ、あの人達は、まさひととまさひでだ!!そうだったー!」

「いやいや、違うよ!それは、田舎にいた近所の人達でしょ。」

「…。」

「お義母さん、今日は疲れてるんだよ。一晩ゆっくり寝たら思いだすよ。」

私も、夫に言われた通りこれ以上掘り下げるのはやめようと思った。

そして翌日。

朝の段階では思い出していなかった。

「母ちゃんの子供は何人いる?」

「4人よ!」

5人なのだが…。

その後、私は数時間仕事に出た。

帰宅すると、母はちゃんと兄達の事を思い出していた。

その辺りから、急激に母に色々な変化が起きるようになっていった。

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