姉発狂
エプロンに手を伸ばし捨てようとした瞬間、ポケットから白い紙が落ちた。
その紙を母が急いで隠そうとする。
非常に嫌な予感がした。
というか、予想がついてしまった。
十中八九あれだろう…。
「請求書 68000円」
やっぱりね…。
以前にも書いたが、「ツケ」で買い物をさせてくれる商店があった。
そういうものも含め、近所からの借り入れをしている可能性が高いので、姉に確認をお願いしていた。
案の定、いつものお世話になっていた店に8万円程「ツケ」があるという事で、事前に私が送金し姉に支払いをお願いしていた。
その一連の動きを見ていた姉が、請求書を取り上げた。
「はぁ?!何これ‼68000円って!この間、いつもの店に8万くまこが送金してくれて、支払い済ませたばっかりなのに!他にはないって言ったよね!もう一つの商店には借りてないのかって聞いた時、ないって言ったよね!」
「いや…。忘れてた…。」
「何が忘れてたよ!!嘘言うな!しかも、今日の日付けじゃん。東京行くって噂を聞いたから、そこのおばさんが慌てて持ってきたんでしょ!」
血管が切れそうな程、発狂している姉は止まらない。
「しかも、黙って借りたものも返さずに東京行くつもりだったんでしょ!だから、この紙を隠したんでしょ!ここに住み続けてる私の身にもなれ!!!」
「いや…。そのうち返そうと思ってた…。東京から送ろうと思ってた…。」
「はぁ???お金はどっから出てくんのよ!貯金も一円もない。年金もほぼ無いのに。」
姉の凄まじい怒りの前に、母も沈黙した。
まぁ、全て事実で言い訳が出来ないから仕方ないのだが。
私は、こういうこともあるだろうと、むしろ借り入れが一件だけなはずがないと思っていた。
何故なら母には虚言癖があったし、今まで散々振り回されてきたからだ。
なので、ある程度現金を持参していたのでまた姉に渡した。
私がそこの商店へ直接支払いに行けば良かったのだが、既に21時を過ぎていた。
19時で閉まってしまうし、翌日も朝一の便なので姉にお願いした。
それにしても、困ったな…。
まだ他にもありそうだが…。
でも、そんな事を今、隣で発狂している姉にはとても言えない。
そして、その予想もやはり現実のものとなっていくのだが、そのうち徐々に書いていこうと思う。