東京進出するまで①
74才にして、初めて田舎を出て東京に進出した母。
父が脳梗塞で倒れ、要介護認定5の状態で施設入居して母一人で暮らすようになってから、言動がおかしいと感じる事が多くなり、私が一泊で田舎に戻り母を東京に連れてくる事になった。
田舎には、実家と車で5分の距離に住んでいる姉がいる。
姉ばかりに迷惑をかけれないという大前提があったが、それぞれ考え方が違ったのが発端だった。
例えば、台風の日。
田舎は、台風の影響をほぼ毎回受ける地域。
すぐ停電する。
しかも、停電すると復旧するまでに2日弱はかかる。
築60年近く経つ木造のボロ屋の状態もかなり酷いもので、屋根や床も傷んでいた。
母に台風で危ないから、姉の所へ避難させてもらうようにと言っても行きたがらなかった。
姉にも、父が倒れてから母は認知症なんじゃないかと伝えても甘えているだけだと言う。
もうすぐ停電するというのに、おにぎりやパン、カップ麺ではなく、米等の食材を姉は持っていく。
炊きあがる前に、停電するのだが。
風呂にしても根深い問題があった。
恐ろしい話だが、私が迎えに行くまで母は1年近く風呂に入っていなかったのだ…。