葬儀当日③

最悪な気分だが、まぁ葬儀当日だし、そんな長電話にはならないだろうと電話に出た。
「もしもし。ご無沙汰しています。」

「急な事でびっくりしたわ。あんたが、ずっと東京で面倒みてたんやろ。時々、あんたの姉ちゃんからは話聞いてたわ。今、娘から話聞いて、良い葬儀だったって。まぁ、色々あったけど、もう全部今までの事は忘れたわ。水に流すわ。」

(は?色々あったって。お前が勝手に色々やらかしてただけだろ。こっちは、一生忘れないけどな。)

「今回は、埼玉からわざわざ来てもらってありがとうございました。これを機にまた〇〇さん(いとこ)とも疎遠になってたけど、交流していこうと思いますので。伯母さんとも長年会ってないので、またそのうち。本当にありがとうございました。」

(会わないけどな。まっ、これで電話切るかな。)

「そうやで。身内やからな仲良うせんとな。まぁこんだけ疎遠になったのも、あんたの母ちゃんが全部悪いんやけどな。あんたの母ちゃんは嘘つきやったしな。自分達兄弟は、女は皆良い旦那をもろうたけど、あんたの父ちゃんはじめ男連中は悪い嫁もろうて苦労したわ。」

(はぁ?!どの口が言ってんだよ!今までの事全部言ってやろうか!!火葬直後にこんな事を言うなんて許せない)
携帯を叩きつけてやりたい衝動を必死に抑えながら、夫に姑をさっさと車に乗せるよう促すが、この空気読まない姑は夫が促しているにもかかわらず、その場から離れない。
姑に対しても前記事にしているが、エンディングメイク等で色々あり腹立っているのに、どいつもこいつもと思っていると、いとこが携帯を取り上げ、
「話が長すぎ。まだくまこのお義母さんとかもいるから。とりあえず電話切るよ。じゃあね。はい。」

怒りが爆発する寸前だったが、なんとか危機を回避できた。

用意しておいた菓子折りと、車代と子供2人にポチ袋に入れたお小遣いを渡した。
「こんな貰えないよ。」

「いやいや。埼玉からわざわざ来てくれたんだし、可愛い娘ちゃん達まで来てくれて。母も喜んでると思うから、受け取ってよ。」 

「いやー、私香典も何も持ってこなかったのに。」

一瞬えっ?????葬式に香典持ってこない人っているの?????と思ったが、動揺が顔に出ないように必死に取り繕い、なんとかにこやかにお別れした。

車に乗り込んでから、夫と二男に伯母との会話を話して、その流れからの香典持ってこなかった発言に皆唖然としていた。

娘ちゃん達には、立派な社会科見学になったのだろうか。

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