あの日のこと⑤

ただただ、祈ることしかできなかった。

しばらくして、医者がやって来た。
はっきりした会話はあまり覚えていない。

母は死んだ。

その事を告げられた時、悲しいとかではなく驚きというか、よくわからない感情だった。
正直、人ってこんなに簡単にというか、あっけなく死ぬものなのかと。
神様はいないんだと。

死亡確認の為、母がいる部屋に入った。
その時の母の顔を見たはずなのに、あまり覚えていない。
「18時14分、お亡くなりになられました。」
その場で泣き崩れてしまった。

「お伝えしづらいのですが、おそらく腹部の血管が切れたものだとは思いますが、ご自宅でこういう事になった場合、死亡診断書が書けないんです。なので、これから警察の方が来られるのでお待ちいただけますか?」
そう言われ、霊安室に案内された。
その途中、突然家族を失った人をサポートする取り組みをしていますみたいな感じでパンフレットを渡されたが、中身を開く気にもなれなかった。
姉に電話した。
姉も驚いていた。

警察が来て、事情聴取があった。
朝からの行動を細かく聴かれた。 「ご協力ありがとうございます。 こういう時に申し訳ないのですが、この後、ご自宅に鑑識員と共に伺います。お母様はこのまま一旦こちらで引き取らせていただきますので、ご自宅にお戻り下さい。」

母を見送った後、タクシーで自宅に戻った。

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