あの日のこと②

病院につくと、いつもの問診。
そこでも母は、明日入学式があると言っていた。

帰りの車の中で、
「疲れた。早く家に帰ってゆっくりしたい。」
と言う母に、
「せっかくだから、いつもの喫茶店でお昼食べようと思ってたんだけど、疲れてるなら家で食べようか?」
母はコメダ珈琲が好きだった。
「では、ちょっと行くかな。」
今、思うと無理していたんだろう。
茶店でも、だるそうにソファーに座っていた。
アイスカフェオレとタマゴサンドを半分食べると、
「父ちゃんには悪いと思ってる。」
「何で急に、どうした?」
「いや、今まで父ちゃんにはあまり好きなことをさせてあげれなかったからね。」
急におかしいと思った。
数年前に、父は脳梗塞で倒れ要介護5で施設に入居している。
その後、母の様子がおかしいと感じる事が多くなり、私が小さな島から出た事もない母を東京へ連れてきた。
東京へ連れてくるまでも、ほとんど父の病院や施設に顔を出そうとしなかった母。
「それでも夫婦か?たまにはちょっと行ってあげなよ。」
「何で、行かないといけないのよ!!あの人にはずっと苦労させられてきたんだから!!」
こんなやり取りを何百回もしてきたのに、突然どうしたというのだろう。
何故か今は、母の話をきちんと聞かないといけないと思った。

「あと、アンタねぇ、もっとニ歩も三歩も下がって、くまおさんの事大事にしなさいよ。それが母ちゃんからの最後のお願い。」

突然、何を言い出すんだろう。
夫に「なんか変だよね。今日おかしいよね。」
そう小声で何度も言いながら、自宅に戻った。

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