結局、好きだったんだよ
私の生い立ちを知っている人は皆、兄弟も含め、母を介護しながら一緒に暮らした事を、あり得ないと言う。
よく昔から、縁を切った方がいい。でないと、いつまでも搾取され続けて幸せになれない。等と言われたものだ。
そう言われながらも、いつも結局見捨てられずによくわからない関係をずっと続けてきた。
「クソババア」「いつまで私の人生めちゃくちゃにすれば気がすむんだよ」
そんな類いの言葉を数え切れない程、浴びせたりもした。
一緒に暮らしてからも、度々衝突しお互い近所迷惑になるくらい大声で罵り合った日も多かった。
母が亡くなって、自分がこんなにも喪失感を抱くことになるとは思わなかった。
「私と母の関係って、やっぱ変だったよね。」
夫にボソッと言ったことがある。
「いや、そうでもないんじゃない。そりゃ、普通だとは全く思わないけど、喧嘩してるの見てたって、お互い一種の甘えの表現なんじゃないかと途中から思ってたし。それに、オマエは結局お義母さんのことが何だかんだ言ったって、好きだったんだよ。」
そうか…。私は、母の事が好きだったんだ。
ずっと、こんな単純な事も気づかずに認められずに、やってきたもんだ。
自分の中に、そういう自分が存在していて本当に良かった。