捨てられない
母が亡くなって、もうすぐ10ヶ月。
なのに、母の部屋を片付けられない。
それ以前に、その部屋に入ることができない。
あの日のことを思い出してしまう。
今までの母との思い出を思い出すことは、辛くなくなってきているし、むしろ愛おしく感じることもある。
でも、あの日の数時間は別だ。
なるべく考えないようにしているが、意識が失くなった状態でベッドに座って壁にもたれかかっていた母の姿を突然、鮮明に思い出す瞬間がある。
そうなると、息ができなくなる感覚に襲われる。
毎日毎日、そういうものに蓋をして生きている。
だけど、いつまでも捨てた物が「歯ブラシ1本だけ」なんていってられない。
今の私を見たら、母は何と言うだろう。