衝撃的な言葉
長男と二男のバトルの翌日、私はこのまま連絡をとりたくないと思っていた。
でも出棺の時、母に兄弟仲良くするって言ったし、納骨の問題もあるし、まだ施設に入居している父もいるし。
父については、4年程前に脳梗塞で倒れ施設に入居しているが、発作を繰り返していて、次は難しいだろうと言われている。
長男も二男も20年は父に会っていない。
母には、東京に引き取った当初、一度だけ長男と二男は会いに来ているが、それも20年近く振りだった。
そして、長男は母の葬儀にも来なかった上に、前日の電話の態度だった。
どこに納骨をするにしても、おそらく田舎だが、私が母を連れていかなければならないので、兄弟それぞれと話をしようと思った。
「もしもし。」
「なんだ、二男に続きお前まで文句の電話か。」
(またこれだよ。だから、電話したくないんだよな。文句は沢山あるけど今はいいや)
「そうじゃなくて、喧嘩する為に電話したんじゃないよ。母ちゃんの納骨どうしようと思って。49日とか。」
「あぁ、京都に墓があるから、お前が持ってくればこっちの墓に入れれば。」
(京都?誰の墓だよ?しかも、アンタのとこから相当離れてるけどね。)
「どうせ、俺が長男なんだから、俺がやれって全員思ってんだろ。」
(いや、そんな事思ってないし。むしろアンタのとこははなからないわ。)
「京都なんて、母ちゃん行ったこともないし、そこに一人入れるのも可哀想じゃない?それに京都に兄ちゃんが住んでて、ある程度墓参りしにいけるならいいけどさ。まだ、他の兄弟とは話してないけど。」
次の瞬間、兄が衝撃的な言葉を口にした。
「お前な。ごちゃごちゃ言ってるけど、遺骨なんて何の魂も意味も価値もなんもねぇよ。生ゴミと一緒。わかるか。生ゴミと一緒。燃えるゴミに出したっていいんだよ。」
怒りを通り越して、哀しいというか、寂しいというか。
50前にもなる男が何言ってんだ。
目の前にいたら、殴っていただろう。
人として最低だ。
もはや、人間ですらない。
もう、この人には何を言っても無駄かもしれない。
人に対して、諦める事は嫌だけど。
母ちゃん、約束守れそうにないよ。
ごめん。