母は可哀想だったのか?

納骨で帰省中に、いつもお世話になっていた村の商店に顔を出した。
普通ではあり得ない話だが、私が子供の頃からいつまでに払うからと言っては、それを過ぎてしまったとしても期限を催促せずに「ツケ」で食料品等を購入させてくれていた店だ。
私は帰省の度に、菓子折りを持って必ず挨拶しに行く。

「こんにちは。おじちゃんお久しぶりです。くまこです。」

「おぉ、くまこかぁ。母ちゃん、大変やったねぇ。まさか、父ちゃんより母ちゃんが先に逝くとは思わんかったねぇ。」
色々な話をしていると、商店なので村の人が買い物に来る。

一人のおばさんが、私を見るなり声をかけてきた。
「あら、珍しい人がいると思ったらくまこさんね。母ちゃん、大変やったね。49日で帰ってきたのよね。それにしても、母ちゃんは可哀想やね。父ちゃんが倒れて東京に連れていかれて、友達もおらんし毎日一人で寂しく家におったんやろ。東京に無理矢理連れて行かれて、ほんとごらしか(可哀想)ってここの人達は言うとるよ。」

東京に連れて行った私に直接言うかな。
さすが、ここの人達はキャラが濃い。

車に戻り、姉と夫にその事を話した。
「ここの人、特にこの村の人は変だから。ほんとはちょっと羨ましいと思ってるかもよ。母ちゃんが不幸であって欲しいと望んでるんでしょ。」

「デイサービス行って、カラオケに目覚めたり、新しい物を見たり、好きな物が増えたりしたんだって言ってやりゃぁ良かったのに。」

そのおばさんに言われた時、あぁまたいつもの感じね。とは思ったが、特別腹は立たなかった。

この人達に知ってもらいたいとも思わなかった。

あの2年間の母親は、私と夫だけが知っていればいい。

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